PixMofu

Steamの年齢確認、オーストラリアではクレジットカードが唯一の手段 利用者はeSafetyへの苦情を呼びかけ

投稿: 2026/09/13by tobariware6分で読めます
画像

登録したクレジットカードを外すと、そのアカウントはまた18歳未満と同じ扱いに戻る。オーストラリアのSteamで9月9日から動き出した年齢確認は、そういう作りになっている。一度通れば終わり、ではない。カードをアカウントに置き続けていることそのものが、18歳以上である証明として扱われる。

r/Steamには、この形に納得できない人へ向けて「確認の選択肢が少なすぎることについて、規制当局のeSafetyに苦情を出そう」と呼びかけるスレッドが立った。集まった書き込みは、Steamへの不満だけで終わっていない。矛先はむしろ、この確認を義務づけた制度そのものと、それを求めたとされる「親たち」へ向かっていく。

年齢確認を義務づけたオーストラリアの新コード

根拠になっているのは、オーストラリアの Age-Restricted Material(App Distribution Services)Code。アプリを配信するサービスに対して、18+区分のものを渡す前の年齢確認を義務づける内容だよ。2025年9月9日にeSafetyの登録簿へ載り、2026年3月9日に施行。年齢確認の部分だけは半年の移行期間が置かれ、9月9日に効力を持った(eSafety Commissioner)。原案を書いたのは業界側だけれど強制力はあり、従わない場合には最大4,950万豪ドル規模の民事罰が用意されている。

Valveが選んだ確認手段は、有効なオーストラリア発行のクレジットカードをアカウントに登録すること。デビットカードもPayPalもアカウントの作成年数も、いまのところ証明としては通らない。確認を済ませていないアカウントからは18+指定タイトルのストアページが開けず、検索や表示からも外れる。手元のライブラリごと消えるわけではないものの、店頭からは見えなくなる形だね。

引っかかるのは、この義務が「クレジットカードで確認しろ」と書いているわけではない点にある。同じ義務を負うMicrosoftは、メールアドレスを使った確認・顔による年齢推定・公的な身分証・クレジットカードの4つを並べ、書類や画像は外部の年齢確認事業者が扱って結果だけを受け取る形にした(Microsoft)。Steamはそこを1本に絞った。オーストラリアは支払いに占めるデビットカードの比率が高く、消費者の支払いの2件に1件がデビットカードという中央銀行の調査もある(Reserve Bank of Australia)。手段をカード1本に絞るのは、そのぶん取りこぼしが出る選び方だった。

対象になるのは、たとえばオーストラリアでR18+区分が付いている『サイバーパンク2077』のような作品。買った覚えのあるタイトルが検索から消えた、という戸惑いが最初の数日でかなり出ていた。

スレッドでまず伸びたのは、Steamの実装よりも手前、国が確認を義務づけること自体への疑問だった。

親は子どもと向き合うべきだと思う。子どもがネットで何をしているか分からないなら、まず自分が学べばいい。詳しくなくても、やってみることはできる。うちの親も、できる範囲でルールを決めてくれた。

この「親の責任」という言い方は、すぐに反論を呼び込む。

では酒を買うときの年齢確認も無くすのか。親が24時間ずっと見ていられるわけがない。そんなものはこれまで一度も成立していない。いつも雑な理屈だ。

年齢確認そのものが効いているのか、という角度からの書き込みもあった。法律に従っていないサイトは確認画面すら出さない、という指摘だね。

そもそもVPNすら要らない。法律を気にしていないところには年齢確認の画面が出てこないし、遮断もされていない。

ここに、話をひっくり返す返信が付く。

それはつまり、年齢確認に従っていないところは、掲載されているものの中身も見ていないということ。本当にまずいものに行き当たる確率は、確認を入れている側より高い。

規制をすり抜ける側にこそ危ないものが残る、という指摘は、この手の議論でいちばん噛み合いにくい部分でもある。確認の網は、最初から従う気のある事業者にだけ掛かるからだよ。

住民の声が変えた「子どもを守る」論調

話が進むにつれて、言葉は制度の動機そのものへ向かっていく。

子どもを守る話じゃない。管理とお金と検閲の話だ。

ただ「子どもを守る」という看板は掲げやすい。票になるからね。

しかも実際には守れていない。

ダメな親の気分が少し良くなるだけ。「何でも触れる端末を子どもに渡したら、良くないものを見つけてしまった。きっと政府が悪い」という話になっている。

強い言い方が続くなかで、当のオーストラリアに住む人からの書き込みが温度を少し変えた。

自分はオーストラリア人だけど、親ではない。同世代の親たちがこれを望んだとは正直思えない。ただ、端末を子どもを静かにさせる道具として使う姿は何度も見てきた。

自分は親だ。周りの親仲間も自分も、こんなものは望んでいない。与党も野党もそろって賛成しているのが信じられない。

望んでいないと政府には伝えた。それでも進んだ。イギリスの署名も、締め切りまでに300万筆以上集まって議会に届いた結果は同じだった。

最後のイギリスの件は書き込み主の記憶で語られたもので、ここでは数字の裏までは取れていない。ただ、スレッド全体を通して繰り返し出てくるのは同じ感覚だった。

そもそも、誰一人として頼んでいないと思う。

呼びかけられている苦情の宛先は、eSafetyが用意しているコード関連の苦情窓口。コードに従っていない、あるいは従い方に問題があると考えるサービスについて、利用者が直接申し立てられる仕組みになっている。スレッドの主張は「Steamは法律を破っている」ではなく、「認められている確認手段がカード1枚しかないのは選択肢として足りない」という点に置かれていた。

カードを1枚外すだけで、アカウントはまた18歳未満に戻る。その仕様が変わるという知らせは、9月9日から今日まで出ていない。

関連記事

コメント (0)

投稿は匿名で受け付けます (通報対応あり)。

  • 最初のひとことをどうぞ🐈

    感想でも「わかる」の一言でも大歓迎。あなたのコメントがこのページの一番乗りです。