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「アカウントは2038年まで凍結」――イラン在住ユーザーの訴えから広がった、制裁とデジタル所有権の話

投稿: 2026/08/05by tobariware7分で読めますAI下書き
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何年もかけてライブラリを積み上げ、そのぶんのお金も払ってきた。チートもしていないし、コミュニティ機能で誰かと揉めたこともない。それでもある日、アカウントが止まった――イランに住んでいるという、それだけの理由で。

Redditのr/pcgamingに投稿されたそんな訴えが、この数日で大きく伸びた。投稿者によれば、サポートからは「制裁対象地域」に触れた定型文だけが返ってきて、チケットはそのまま閉じられ、コミュニティ機能の制限は2038年まで。返金にも応じてもらえなかったという。

これは個人の申告で、Valveが個別のアカウントについて何かを公表しているわけではない。ただ、その周りで交わされた話のほうが、正直かなり読み応えがあった。制裁というものがゲームのライブラリにどう効いてくるのか、そして「買った」と思っているものが実際には何なのか、という話に転がっていったからにゃ。

「制裁対象地域」の一文は、規約のどこから出てくるのか

まず押さえておきたいのは、これがValveの気まぐれではなく、書いてあることだという点。Steamの利用規約には、コンテンツやサービスを輸出規制の対象国へ輸出しないこと、そうした国の個人にアカウントを使わせないことに同意する、という条項がある。利用者側が「自分は禁止対象の国に所在しておらず、その国民でもない」と表明する形にもなっている。

そして規約は、Valveがアカウントを制限・解約できること、その際に事前の通知が必ずしも要らないこと、規約違反で解約された場合は購入額もSteamウォレットの残高も返金されないことまで、はっきり書いている。読んでいて気持ちのいい条文ではないけれど、こういう事態が起きたときに参照されるのはここになる。

もうひとつ、投稿で目を引いた「2038年まで」という期限。これは特別に長い罰を選んだ数字ではなく、コンピューターが古くから使ってきた時刻の数え方(32ビットのUNIX時間)が2038年1月19日で天井を打つ、そこから来ているとみられる。要するに「システム上の最大値=実質的な無期限」で、日付そのものに意味があるわけではない。2038年になったら戻ってくる、という話ではないのがつらいところにゃ。

米国の規則は、eゲーミングを「許可される側」に並べている

ここが今回いちばん面白い部分。米国のイラン制裁は「何もかも一律禁止」ではなく、インターネット越しのやり取りに付随するサービス・ソフトウェアには例外の枠が用意されている。2022年に出された一般許可D-2の内容は、現在は財務省の規則本体(31 CFR 560.540)に取り込まれていて、そこには許可される例として、SNS、共同作業ツール、ビデオ会議、eラーニング、翻訳、地図、認証サービスと並んで、はっきり eゲーミング の語が入っている。有料・無料を問わない書き方だ。

つまり「ゲームのサービスをイランの一般利用者に提供すること」は、米国の規則の上で頭から禁じられているわけではない。ただし枠には条件と除外がぎっしり付いていて、イラン政府や制裁指定を受けた相手向けは対象外、商用グレードの回線やイラン企業向けのホスティングも対象外、輸出管理上の分類によっては商務省の別途許可が要る。加えて、規則が許していることと、米国企業が実際にリスクを取って提供するかどうかは別の話でもある。決済経路の問題もある。

この「法的には道があるのに、事業者は近づかない」という距離感が、今回の話をややこしくしている。Valve側から見れば線を引いておくのが最も安全で、利用者側から見れば、何年も普通に買えていたものが説明なく止まる。どちらの立場にも言い分があって、そのぶん議論が噛み合わないにゃ。

Redditの反応:「Valveも手を縛られている」と「売っていればよかった」

集まった声は、意外なほど投稿者を責める方向には行かなかった。かわりに、制裁の仕組みを説明する冷静なコメントと、ストア側の設計そのものに矛先を向けるコメントが並んだ。

まず出てきたのは、事情を整理する声。

手続きが変わったのは今年の情勢と米国の制裁が理由だろう。制裁を受けている以上、Steamにできることはあまりない。Googleが動き続けているのは、一般のイラン市民を巻き込まないよう「個人の通信」として明示的に位置づけられているからだ

これに続いて、実務的な指摘が入る。

仮にValveが事前に警告していたとしても、ほとんどのSteamのゲームには意味がなかった。どこかへ移す手段がそもそも存在しないから。GOGを見たほうがいい。オフラインインストーラーが手に入るし、こういう事態に備えてバックアップも取れる

投稿者自身もここには反応していて、

ここまでで一番役に立つコメントだ。GOGのオフラインインストーラーこそ、プラグを抜く前にSteamが最低限用意しておくべきものだったと思う。せめて警告と、ダウンロードする機会くらいは

一方で、Valveを一方的に責めるのは筋が違うという見方も強かった。

最悪だけど、理屈としては一番納得がいく。どれだけ嫌でも、Steamは手を縛られている

Valveがその判断を下しているわけじゃないと思う

ここに、話の芯を突く短い返しが入る。

オンラインのライセンスじゃなく、ゲームそのものを売るという選択肢はあったはずだけどね

GOGの道を選ぶこともできた。ただし大手パブリッシャーの一部を失う危険はあった

この「じゃあGOGでいいのか」という流れは、そのまま現実的な限界の話に落ちていった。

最近GOGを試したけど、正直けっこう古いゲームばかりで、新しめの重要なタイトルはあまり無かった

ライブラリの規模はSteamと比べれば小さい。ほとんどのパブリッシャーは、売れるのはSteamだと分かっているからGOGに手間をかけないし、DRM無しで売られること自体を嫌がるところもある。それでも好きな作品はGOGで買うようにしている。復刻の要望を出せる仕組み(Dreamlist)もあるしね

その復刻要望の話から、権利の壁で身動きが取れない例も挙がっていた。あるユーザーは往年のレースゲームが今どこでも売られていないことを嘆き、別の人は「サウンドトラックの利用許諾が切れたまま更新されていないからだ」と説明していた。この理由づけは公式に確認できるものではないので、あくまでそういう見立てがある、という話として読んでおきたい。

ちなみにGOGはポーランドの企業で、EU圏にあることを利点に挙げる声もあった。ただ制裁への対応は各社が拠点の法制度に従って判断するもので、「EUだから絶対に止まらない」とまでは言えない。オフラインインストーラーで手元にファイルが残る、という部分こそが実際の違いにゃ。

配信が止まった作品はどうなるのか、という話は以前も取り上げたことがある。今回のように「持っている側」から見え方が変わると、あのときの議論がまた別の角度から立ち上がってくる。

📄 PS新作ディスク終了の先にある「買えないゲーム」問題 配信停止を巡りRedditで議論

制裁の是非そのものは、猫のライターが軽々に語れる話じゃない。ただ、そこから確実に言えることがひとつある。何年ぶんの購入履歴があっても、手元に残るのはアカウントに紐づいた利用権であって、ファイルの詰まった箱ではない。棚に並べておけるものと、誰かの判断ひとつで消えるものの違いは、こういう形でしか可視化されないのがなんとももどかしい。

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