Steamのトップページに載る条件は?「お金で載せられますか」への公式回答は「Nope」
Steamを開いたとき、いちばん上でぐるぐる回っている大きなバナー。あの枠に自分の知らないゲームが並んでいるのを見て、「これって開発者が枠を買ってるの?」と思ったことがある人は多いはずにゃ。ウィッシュリストの数で決まるという説、発売初日の売上で決まるという説、Valveの中の人が手で選んでいるという説——r/Steamでは定期的にこの手の推測合戦が起きる。
答え合わせは意外と簡単で、Valveは開発者向けにVisibility on Steamというドキュメントを公開している。そこには「何が効くか」だけでなく、「何が効かないか」まで名指しで書いてある。
公式FAQには、まさにその質問がそのまま載っている。「もっと多くのお客さんに表示されるよう、お金を払うことはできますか?」——答えは 「Nope.」 の一言だ。続けて「あなたは魅力的で興味深い、ユニークなゲームを作ることに集中してください。Steamは顧客の興味・好み・フィードバックに基づいて、あなたのゲームを載せるのに最適な場所を判断します」と書かれている。
つまり広告枠としてトップページを販売する仕組みは存在しない。ここは推測の余地なく、公式が明言している部分にゃ。
何もしなくても新作キューには流れる
では何もしなくても誰の目にも触れないのかというと、そうでもない。ドキュメントは表示を大きく2種類に分けている。ひとつがベースライン表示。発売すると、そのタイトルは「同じ時期に発売した作品のプール」に入り、ユーザーごとに生成される新作キューに流れ込む。このキューはまだ表示回数が少ないタイトルを優先しつつ、そのユーザーの好みとタグでフィルタされる。ユーザーがキューをクリックしてストアページに着地すると、それが1ビューとしてカウントされ、次の誰かに順番が回っていく仕組みだ。
もうひとつがオーガニック表示。ここからは完全に成績次第で、うまく立ち上がれば「New & Trending」に載り、売れれば各所のトップセラーに入り、割引中はSpecialsに並ぶ。フレンドのアクティビティ、Discovery Queue、キュレーターの推薦も入り口になる。ただしNew & Trendingについては「同時期に人気作が多く出ていると、すぐに押し出されることがある」とも書かれていて、発売週の混み具合という運の要素は正直に認められている。似たコンセプトの作品が一斉に並ぶ時期はまさにこれが起きやすいにゃ。以前、棚に戻すだけのゲームが8月のSteamに何本も並んだ件を取り上げたけれど、ああいう波の中に飛び込むと押し合いになる。
そして一番上のメインカプセル。ここは「Valveのキュレーションではなく、プレイヤーが時間とお金を使っているものに基づく」と明記されていて、表示内容は顧客ごとに全部違う。所有しているゲーム、遊んでいるゲーム、フレンドが遊んでいるゲーム、トップセラー……そういった材料から組み立てられる。あなたが見ているトップページと隣の人のトップページは、そもそも別物というわけだ。
流入数もレビュースコアも評価に入らない
このドキュメントの面白いところは、否定形の見出しが並んでいることにゃ。
- ストアページの流入数:「あなたのストアページに着地したトラフィックは、Steamのストア表示の要素ではありません」。外部から人を連れてきた結果として売上が増えれば効くが、アクセス数そのものは数えられていない。
- コンバージョン率:ページを見た人がどれだけ購入したか、その率も「要素ではありません」と書かれている。
- レビュースコア:「賛否両論(40%以上)以上であれば、レビュースコアはアルゴリズム表示の要素ではありません」。逆に言えば40%を割ると話が変わる、という読み方になる。
- ウィッシュリスト:これが一番誤解されている項目で、公式は「ウィッシュリストはあなたのゲームのアルゴリズム表示の要素ではありません」と断言している。
代わりに効くと書かれているのは、身も蓋もないほど直球だ。人が買っていて、遊んでいるか。これが「あなたのゲームに関心があり、Steamはもっと多くのプレイヤーに見せるべきだという強いシグナル」になる。加えて対応言語(「プレイヤーは自分が理解できるゲームを遊びたがる。そのためSteamは、あなたのゲームが対応している言語を話すプレイヤーに表示しやすくなります」)と、ジャンルの入り口を決めるタグ。この3つが軸にゃ。
ちなみに地味な落とし穴もひとつ。ストア用グラフィック素材のドキュメントには、スクリーンショットを「全年齢に適切」としてマークしていない場合、フロントページでタイトルアートにカーソルを合わせたときなど、Steam内の一部の場所に表示されないことがあると書かれている。アルゴリズム以前に、素材の設定で自分から枠を消してしまうこともあるということだ。
「効かない」と言い切られたウィッシュリストだが、公式は同時に「Popular Upcomingタブのようないくつかの例外を除いて」という但し書きを付けている。発売前の作品が並ぶあの枠だけは、ウィッシュリストの積み上がりが物を言う。まだ1本も売れていない段階で掴める枠はここだけ、という言い方もできる。
ただし何件でそこに入れるのか、具体的な数字をValveは公表していない。外部でよく語られるしきい値は観測に基づく推測であって、公式の基準ではない点は押さえておきたいにゃ。
そしてウィッシュリスト自体が無意味なわけでもない。ドキュメントは「表示の要素ではありませんが、ウィッシュリストは依然として重要です」と続け、発売時や20%以上の割引時に通知が飛ぶという役割を挙げている。順位を上げるための数字ではなく、発売日に一斉に人を呼ぶための名簿だと思うと分かりやすい。
アップデート枠は最初に5回配られる
もうひとつ、知られていない公式の仕組みがUpdate Visibility Rounds。大型アップデートやDLC、新機能を告知するために、Valveがストアのトップページに専用の枠を確保しているものだ。表示先はそのゲームをライブラリに持っている人、またはウィッシュリストに入れている人。
配られる回数は最初に5回分で、早期アクセス期間と正式リリース後で共有される。売れ行きが良い作品には追加で付与されることがある。1回のラウンドは開始から最長30日、または100万インプレッションに到達するまでで、先に来たほうで終了。利用には直近30日以内に投稿したコミュニティ告知を紐付ける必要がある。ラウンドとラウンドの間隔に制限はなく、連続して使うことも、将来のアップデートに合わせて温存することもできる。ただしサマーセールのような大型セール期間中は、ストアの表示が切り替わる関係で基本的に出てこない。使い始められるのは初回のローンチ表示が終わってからで、早期アクセスの場合は発売から2週間後だ。
こうして並べてみると、トップページは「誰かが選んだ棚」ではなく、プレイヤーの財布と時間が動かしている棚として設計されている。手を挙げれば載せてもらえる場所ではないし、逆に言えば札束で押しのけられる場所でもない。推測が飛び交うのも無理はないけれど、答えの大部分は開発者向けのドキュメントに、それも「Nope.」みたいな身も蓋もない書き方で置いてあるにゃ。
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