Steamに一つだけ機能を足せるなら? r/Steamの議論はアカウント相続とオフライン時間に集中
Steamの利用規約には、こういう一文がある。「ユーザーのアカウントは、関連するあらゆる情報(例えば連絡情報、請求先住所、アカウント履歴と利用権など)を含め、厳重に個人的なものです」。続けて、売ることも、他人に使わせて料金を取ることも、譲渡することもできないと書いてある(Steam利用規約)。文書に記された最終改定日は2026年9月10日。ついこのあいだ手が入ったばかりで、それでもこの部分は変わっていない。
Redditのr/Steamに、「自分がValveの責任者になったとして、最初に足す機能は何か、あるいはどの不満を直すか」という問いが投げられた。返ってきた声のうち、いちばん厚みがあったのが、まさにこの「譲渡できない」に触れる話だった。
親が自分のライブラリを子どもへ引き継げるように、アカウントの相続を認めてほしい。
これに対して、すぐに現実的な返しが付く。
パスワードを書き残しておけば済む話では?
難しいかどうかじゃなくて、それが規約違反だという点が問題なんだ。
実際、規約はアカウント情報を他人と共有すること自体を認めていない。書き残したパスワードでログインし続けるのは、うまくいっているあいだは誰も気付かないだけで、認められた手段ではないという指摘だね。この点について、「Valveの姿勢は『聞かないし、言わない』だと思う」という見方も出ていた。
なら黙っていればいい。写真で本人確認でもされるとでも?
100年ぶん活動が続いているアカウントは、さすがに少し怪しまれると思う。
ここから話が妙な方向へ転がる。
そもそもその頃までSteamが残っていたら驚くよ。
自分もそう思う。ただ、100年以上続いている会社はいくらでもある。1847年創業のシーメンスは今も技術分野の大手だ。
任天堂なんて来週で137歳になる。
最後の数字は合っている。任天堂の公式な沿革は創業を1889年としているので、2026年でちょうど137年目。山内房治郎が花札を作り始めた年から数えて、である。
一方で、感情論ではなく仕組みの問題として捉えた声もあった。
何百ものパブリッシャーの作品を預かっている以上、これは何層にもなった法律の問題だ。最終的には法律や規制の側で解決するのが筋だと思う。
「中国では法律でこれが義務づけられている」という書き込みも付いていたけれど、これを裏づける公式の資料は見つけられなかった。少なくとも、現在公開されている規約の本文に、地域ごとの相続の扱いを書き分けた箇所は無い。
Valveがこの領域で実際に出したものはある。2024年9月に正式リリースされた「Steamファミリー」だ。最大6人でグループを作り、各自のライブラリにある対象タイトルを互いに遊べる。セーブデータや実績はそれぞれ別で貯まり、保護者向けにはプレイ時間の管理や、子どもからの購入リクエストを承認する機能も付く(Steamファミリーの案内)。
ただ、これは「一緒に暮らしているあいだ、同じ棚を使える」仕組みであって、棚そのものを渡す話ではない。規約のほうは利用権についても、たとえアクセスを終了させても、そのアクティベーションキーを別のアカウントに登録し直すことはできないと明記している。共有と相続のあいだには、まだ線が引かれたままなんだね。
スレッドの中では、こんな書き込みが妙に印象に残った。
息子が大きくなったら自分のアカウントを渡すつもり。積んだぶんを消化しきれるといいけど。
オフラインのプレイ時間が記録されない
相続と並んで支持を集めたのが、まったく毛色の違う不満だった。
どうしても引っかかるのがオフラインのプレイ時間が正しく動かないこと。クラウドセーブは接続が戻れば同期できるのに、どうしてプレイ時間だけは同じように上げられないんだろう。
これはValveも把握している。Valveが公開しているSteamクライアントの要望・不具合の受付先には、「オフラインモードで遊んだぶんがプロフィールに反映されない」という報告が2021年10月からFeature Requestとして立ったままになっている。報告者が挙げていたのは、ゲームの起動時と終了時の両方でオンラインでないと記録が残らない、という挙動だった。
面白いのは、「まったく数えていないわけではない」という指摘が返ってきたところ。
返金の判定にはオフラインの時間もちゃんと数えられているはずだよ。プロフィールに反映されない理由が分からない。
Steamの返金ポリシーは「購入から2週間以内で、使用時間が2時間未満」が条件。プレイ時間がそのまま返金の可否に直結する以上、数えていないほうがむしろ困る、という理屈だね。そこから、こんな思考実験まで出ていた。
オフラインで遊んで、一度もつながないまま別のPCやスマホから返金申請したらどうなるんだろう。
理屈のうえでは通る。プレイした端末を一度もネットにつながず、2週間以内なら、買うのも返すのもスマホ側で完結してしまう。
もっとも、こちらは試した結果の報告ではなく、あくまで「そうなるはずだ」という推測。真似する話ではないし、返金申請が繰り返されればValve側で制限がかかることも公式に書かれている。
相続の話もオフラインの話も、結局のところ「自分が買ったものは、どこまで自分のものなのか」という一点に集まっていた。規約の1条Cは、その問いに対してかなり素っ気ない答えを返す。次に改定の通知が来たとき、まずこの段落から読む人は少し増えるかもしれない。
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