PixMofu

Steam有料ゲームの収益中央値は3,631ドル ― 9万8555本を推定したレポート公開、上位1%が84.5%を占める

投稿: 2026/08/20by tobariware7分で読めます
画像

有料ゲームの半分は、累計で3,631ドルにも届いていない。

Steamで販売されている有料ゲーム9万8555本の収益を、レビュー数から推定した「The Steam Revenue Report」が8月19日に公開された。まとめたのはTotally Human MediaのIchiro LambeとMatt Martindale、それにVaporLensのTim Ermilov氏で、レポートのページにはValveとは無関係の集計だとはっきり書かれている。対象は「価格が付いていて、レビューが1件以上ある」ゲームすべて。

全体の推定総額は1294億ドル。それを本数で割れば1本あたり130万ドル超になるはずが、実際の中央値は3,631ドルしかない。平均と中央値がここまで離れるということは、上のほうにとんでもない偏りがあるということだね。

上位1%が全体の84.5%を持っていく

レポートでいちばん強い数字がこれ。9万8555本のうち上位1%が、推定収益全体の84.5%を占めている。残りの99%が分け合っているのは、15%ちょっとしかない。

偏り具合はジニ係数でも示されていて、その値は0.98。0なら全ゲームが同額を稼ぎ、1なら1本がすべてを取る、という指標にゃ。レポートは比較対象として各国の所得のジニ係数を挙げていて、そちらはおよそ0.25〜0.63の範囲に収まる。つまりゲーム市場の偏りは、現実の所得格差とは比較にならない領域にあるということになる。

下側の実情も容赦がない。集計に入っている有料ゲームのうち8,768本はレビューがゼロで、この手法では推定額が0ドルと返ってくる。レポート側も「実際はゼロではないだろうが、おそらく0〜750ドルの間」と補足している。売れていないのではなく、売れた数が測定の下限にすら届いていない、という言い方が近い。

しかもこの1294億ドルは、あくまでストアに入ってきた総額の推定だ。ここからValveが30%を取り、多くの地域ではVATや現地の税が引かれ、さらに返金とチャージバックが後から差し引かれる——という注意書きがレポート本文に置かれている。開発者の手元に残る額は、並んでいる数字よりもう一段下だと考えたほうがいい。

サンドボックスは4本に1本以上が10万ドルを超えた

ジャンル別の集計では、「ヒット率」という指標が使われている。定義は単純で、そのジャンルのゲームのうち、推定累計収益が10万ドルを超えたものの割合。10万ドルは大金ではないけれど、少なくとも開発費が回収できる可能性がある線、という位置づけだね。

集計の作り方に一工夫あって、あるジャンルに数えられるのは、そのタグがそのゲームの「人気タグ上位6件」に入っているときだけ。タグ欄の下のほうに保険のように付いているだけのジャンルは弾かれる仕組みで、レポートはこれを「ローグライクであるゲームの経済圏を見ているのであって、ローグライクのタグを付けただけのゲームではない」と説明している。

その集計で首位に立ったのがサンドボックスだった。ヒット率は27.6%で、4本に1本以上が10万ドルの線を越えている。以下はFPSが21.8%、RPGが19.5%、アクションRPGが19%と続く。母数の大きいFPSやRPGが依然として強いのは変わらないけれど、1本あたりの見込みではサンドボックスが上回った形になる。レポートには「混雑度と見返り」を軸に取ったバブルチャートも用意されていて、本数の多さと市場中央値に対する成績を同時に眺められるようになっている。

最上位に並ぶ顔ぶれも、そのジャンルの色が濃い。『Terraria』が約5億4000万ドル、『Palworld』が約5億ドル、『ARK: Survival Evolved』が約4億ドル。中央値3,631ドルの世界と同じ表に載っているとは思えない桁だ。

ただしレポート自身が、この帯域について「推定がいちばん当てにならないのはここ」と釘を刺している。大ヒット作同士でもレビューを書かれる率は大きくばらつき、1ポイントのズレが数億ドルの差になるから、というのが理由だね。上位25本のランキングは、順位より「桁」を見るものだと考えたほうがよさそう。

サンドボックスという括りは範囲が広くて、建築も生存も工場も飲み込む。砂粒のひとつひとつが資源として物理演算で動く『Sandustry』のような、遊びの土台そのものを差し替えてくる作りも、この分類の内側にいる。

📄 あらゆるピクセルが資源の2D工場ゲーム『Sandustry』早期アクセス開始、35%オフの962円

その金額はレビュー数に35を掛けて出している

数字の作り方も、レポートは隠さず全部書いている。Valveは販売本数を公開していないが、レビュー数は公開している。そしてレビュー数はおおよそ販売本数に比例する——ここから「レビュー数×定数」で本数を推定し、価格を掛けて金額にする。Mike Boxleiter氏が最初に比率を公開したことから、Boxleiter法と呼ばれている手法だ。

この定数は既定で35倍。ページ上で20倍(控えめ)から50倍(強気)まで動かせるようになっていて、レポートは「ダイヤルを付けずに1つの数字だけ出すのは、この手法にない精度があるように見せてしまう」と理由を説明している。ジャンル・価格帯・年代・客層によって信頼できる範囲はおよそ20〜60倍に広がる、とも書かれている。安いゲームを勢いで買った人と、高いゲームを吟味して買った人では、レビューを書く率がそもそも違うわけだね。

そして「数えられていないもの」が、章ひとつ分をまるごと使って並べられている。

区分本数扱い
集計対象のカタログ全体136,401本非ゲームソフト・成人指定・未発売を除く
価格とレビューが揃うもの98,555本推定の対象
基本プレイ無料18,385本掛ける価格がないため推定しない
価格の記録がないもの10,693本販売停止など。無料とも数えられない
レビューがゼロの有料ゲーム8,768本0ドルと返るが実際は0〜750ドル程度
120ドル超の登録363本業務用ソフトや冗談価格として除外

抜けの中でもいちばん大きいのが基本プレイ無料だ。『Counter-Strike』『Dota』『Warframe』『Path of Exile』——プラットフォーム最大級のタイトルが、アイテムやバトルパスで稼いでいる分は「価格×レビュー数」という物差しにまったく映らない。

計算に使う価格が「現在の定価」であることも効いてくる。ほとんどのゲームは高めの価格で出て、その後何年も割引を重ねながら売れていく。だからレポートは、長く売られていて値引き履歴の厚いタイトルほど推定が上振れすると認めている。さらに使っているのは米国の定価だけで、地域別に大きく下がった実売価格は反映されない。DLCやバンドルの売上も入っていないし、レビューを書く人の割合はSteamの20年で変化しているのに、そこへ一律の倍率を当てている点も簡略化だと明記されている。

推定の精度をどう受け取るかは読む側次第だとして、この手のデータで「ここは測れていない」を先に全部並べる作りは珍しい。価格×レビュー数という物差しの上では、Counter-StrikeもDotaも1ドルも稼いでいないことになる。

関連記事

コメント (0)

投稿は匿名で受け付けます (通報対応あり)。

  • 最初のひとことをどうぞ🐈

    感想でも「わかる」の一言でも大歓迎。あなたのコメントがこのページの一番乗りです。