乗客を平手打ちするバス運転ゲーム『Thank You Bus Driver』発表 ― Double Fine新レーベル第1弾
バスの運転席に座って、乗客から「ありがとう」を集める。集めた数がそのまま、次の停留所までの残り時間になる。『Thank You Bus Driver』は、そういう仕組みのゲームにゃ。手がけたのはDouble Fine Productions。
モノクロ線画の運転席と平手打ち計測メーター
画面は全編が手描きの線画で、色はモノクロ一色。運転席からの一人称視点で、ひび割れたフロントガラスの向こうに田舎町が広がっている。
計器の並びは素直な作り。中央が残り時間のタイマーで、その右に「Lighthouse」「City Hall」「The Burbs」「Windmill」といった次の行き先が出る。ダッシュボードの右端に据わっているのが「Thank-o-meter」で、泣き顔と笑顔の間を針が行き来する乗客の機嫌計。「Ty」と書かれたカウンターが、受け取った感謝の総数を数えている。
運転手を動かす燃料は上機嫌の乗客だけ、と公式は説明している。Thank Youを多く受け取るほど次の停留所までの持ち時間が伸び、さらに貯めればバスに飾る小物や町のバリエーションが開いていく(Double Fine Productions)。


夜の便を写した画面では、車内にコーヒーカップと保険証、ぶら下がったサイコロ、天井の電飾が増えている。解放されると言われている「小物」は、たぶんこのあたりのことだね。
広げた地図の隅には、その日の禁止事項が手書きで3行並ぶ。「No Stinky(臭うのは禁止)」「No Toenail Clipping(足の爪を切るな)」「No Sleeping(寝るな)」。走行中に「New Rule: No Sleeping」と吹き出しが飛んでくる場面もあり、運行の途中でも項目は増えていく。
破った客は平手打ちで黙らせる。それでも繰り返す常習犯には、後ろのドアからご退場いただく——公式の表現では「乗車の権利を取り消す」。車内を写した画面には、記号だらけの罵声が乗客の頭上に浮かんでいる。誰が道路を仕切っているのかを思い出させる作業は、どうやら一方通行ではないらしい。



大事なのは次の停留所にたどり着くこと、それだけ。地図を広げたまま曲がってもいいし、トウモロコシ畑を突っ切る近道を選んでもいい。歩行者、対向車、目の前の柵——それらを避けるのは「任意」だと公式が言い切っている。市庁舎前で牛らしき生き物をはね飛ばしている画面が、そのまま宣伝素材として並んでいるあたりに本気度が出ている。
乗客が怒り出す前に着けば、道中の顛末は問われない。桟橋の板の上をバスで走っていく画面もあって、道路の定義もかなり緩い。



Double Fineの新レーベル第1弾として発表
Double Fineは今年、Xbox Game Studiosの傘下を離れて独立したスタジオに戻り、自社タイトルの権利も取り戻した。公式サイトでも自分たちを「独立したばかりのスタジオ」と書いている。その後に立ち上がった新レーベルが「Double Fine Action Labs」で、掲げているのは「小さくて変わったゲームのためのレーベル」という位置づけ。『Thank You Bus Driver』はその第1弾になる。
企画はDouble FineのWill Koehlerの発案で、少人数のチームが数週間で形にしたという。スタジオは今、9月いっぱい動くクラウドファンディング企画「Amnesia Fortnight 2026」を進めている最中で、支援者の投票で選ばれた試作品を磨き上げて実際の小さなゲームに仕上げる、というのがその骨子。今回のバス運転ゲームは「そこから何が生まれうるかの見本」だと公式は説明している。
Steamページはすでに公開されているものの、発売日は「近日登場」のまま。価格も出ていない。対応言語は英語のみで、インターフェース・音声・字幕のいずれも英語だけ、日本語は含まれていない。動作環境に挙がっているのはWindows 10/11の64bit版(Steam)。
PAX Westの会場には試遊台が出ている。バスがいつ発車するのかは、まだ時刻表に載っていない。
関連記事
背後を映すスマホだけが命綱――目を離すと迫る短編ホラー『180°』がSteamで配信開始
見ている間は動かない“それ”が、視線を外した瞬間に音もなく距離を詰める。手元のスマホで背後を映しながら謎の空間からの脱出を目指す約30分の短編ホラー『180°』が配信スタート。
止まったら即アウト―ソ連風レトロ高速FPS『HMUR』デモ版が9月配信、新トレーラーも公開
90年代シューターの狂気とソビエトSFが融合した高速FPS『HMUR』。止まれば死が待つ苛烈な一本のデモ版が、2026年9月にSteamで配信予定。新トレーラーもお披露目されたにゃ。
『Hellboy』開発陣の新作は超高速スピードラン。時間を操る『Echobreaker』8月6日Steam配信
『Hellboy: Web of Wyrd』を手がけたUpstream Arcadeの新作『Echobreaker』が8月6日にSteam配信。時間操作と体力を削る立ち回りで、コンマ1秒を削り合う精密スピードランにゃ。

コメント (0)
最初のひとことをどうぞ🐈
感想でも「わかる」の一言でも大歓迎。あなたのコメントがこのページの一番乗りです。