ZeniMax従業員、4都市6拠点で同時デモ ― Xbox大規模リストラに「静かに消えはしない」
7月15日の昼、ロックビル、オースティン、ダラス、そしてモントリオール。北米4都市の6拠点で、ゲーム開発者たちが同時にオフィスの外へ出て歩き出したにゃ。掲げていたのは「Save Our Devs」の文字。ZeniMax傘下スタジオの組合員による、業界でも前例のない同時多発の行進だった。
きっかけは、その9日前にMicrosoftが出した一通の発表だ。
「XBOXをリセットする」から始まった9日間
7月6日、Xbox公式ブログにResetting XBOXと題した文章が公開された。書いたのはXbox CEOのAsha Sharma。「我々はXBOX史上もっとも大規模な再編を始める」という一文から始まるその発表は、FY27を通じて約3,200人の削減を行うと明言している。うち1,600人はその日のうちに通知された。
同じ発表の中で、スタジオの去就も示されている。
| スタジオ | 発表内容 |
|---|---|
| Compulsion Games / Double Fine | IPとカタログを保持したまま独立スタジオへ |
| Ninja Theory / Undead Labs | 新オーナーの下へ(『Senua』『State of Decay 3』は完成まで資金手当て) |
| Arkane(フランス) | 従業員代表委員会との協議を開始 |
削減はActivision、Bethesda/ZeniMax、Blizzard、King、Mojang、XBOX Game Studiosにまたがるが、「発表済みのファーストパーティタイトル・プロジェクトはひとつも中止していない」とも書かれている。作品は残す。人は減らす。そういう発表だったにゃ。
WARN通知が晒した実数 ― 213と166
会社の発表文は数字を丸めがちだけど、米国には法律で提出が義務づけられた書類がある。大量解雇を事前通知するWARN(労働者調整・再訓練予告)だ。メリーランド州労働局が公開している2026年のWARN通知ログには、7月6日付でこう記録されている。
| 事業所 | 所在地 | 対象人数 | 実施日 | 区分 |
|---|---|---|---|---|
| ZeniMax Online Studios | Cockeysville, MD | 213人 | 2026/09/04 | Mass Layoff - No Recall |
| ZeniMax Media Inc. | Rockville, MD | 166人 | 2026/09/04 | Mass Layoff - No Recall |
メリーランド州だけで合計379人。目を引くのは区分欄の「No Recall」という表記で、これは再雇用の予定がない解雇であることを意味している。
そして213人を出したZeniMax Online Studiosは、『The Elder Scrolls Online』を12年間運営してきたスタジオそのものだにゃ。

テキサス州のWARN通知では、ZeniMax関連で158人。内訳はid SoftwareのRichardsonオフィスが96人、同オフィス所属のリモート勤務者が40人で計136人、残る22人はBethesda Game Studiosのオースティンオフィスだった。この158人のうち146人が労働組合CWAの組合員である。
組合側の集計では、Bethesda Game Studios、ZeniMax Online Studios、id Software、ZeniMax Workers United QA、ZeniMax本社にまたがって、440の組合員ポジションが消えることになる。
「これで決着したことにして、黙って消えてほしいのだろう」

削減発表の翌日、CWAは声明を出した。CWA会長のClaude Cummings Jr.の言葉はこうだ。
Microsoftが、Xboxを築いた労働者を使い捨て可能だと決め込むなら、自分が誰を相手にしているのか思い知るべきだ。
CWA District 6副会長のDerrick Osobaseも「Xboxを価値あるものにしているゲームを作っているのは、我々CWAの組合員だ」と続けた。同District 2-13副会長のMike Davisは、要求を4点に絞って提示している。
- 公正な退職金
- ベンダー契約に関する決定への関与
- 社内配置転換(有資格の従業員が空きポジションへ移れるように)
- リコール権(再雇用の優先権)
Bethesda Game Studiosの組合「OneBGS」は、さらに直截だった。「会社は、これで決着したことにして我々に黙って消えてほしいのだろう。そうはさせない」——この一文が、7月15日の行進の号砲になったにゃ。
240人の組合が、6拠点を同時に動かした
OneBGSはBethesda Game Studiosの240人以上を代表する組合で、2024年8月にNLRB(全米労働関係委員会)の認証を受けている。今回の行進は現地時間7月15日12時30分に一斉スタート。ロックビル、オースティン、ダラス、モントリオールのZeniMax各オフィス前に加え、カリフォルニア州アーバインのObsidian Entertainment前ではBlizzardの従業員が連帯集会を開き、ワシントン州レドモンドのMicrosoft本社キャンパスではUnited Videogame Workers-CWAが並行して行進した。
2か国・4都市・6か所が同時に動いた労働行動は、ゲーム業界では前例がない。ロックビルの現場には、市長のMonique Ashtonと市議会議員のMarissa Valeriaも姿を見せている。
争点は「何を交渉するのか」の一点

行進の背景には、法律上のややこしい線引きがある。
MicrosoftとCWAは中立協定(neutrality agreement)を結んでおり、2022年以降3,500人以上がCWAに加入してきた。ただ今回争われているのは、Microsoftがリストラそのものを組合と交渉する義務を負うのか、それとも「その影響(effects)」だけを交渉すればよいのかという点だ。米連邦労働法に根ざしたこの区別が、行進が実際の成果に結びつくかどうかを左右することになる。
CWAは、Microsoftが団体交渉のペースを月12時間から4時間へ引き下げ、再編前に契約を批准できるスタジオの数を絞ったと主張している。組合側の要求は、優先的な社内異動、退職金の上積みと医療保険の延長、そしてリコール権に集約されつつある。
ZeniMax Workers United QAについては、解雇発表の時点ですでに契約上の事前通知義務とリコール権を確保していた。契約があるかないかで、同じ会社の中でも立っている場所が違ってしまうにゃ。
なお、ゲーム業界での労組の動きはZeniMaxに限った話ではない。以前取り上げたRockstar Gamesの労組承認申請も、同じ2026年に進行している話だ。
9月4日という期限
WARN通知に記された実施日は2026年9月4日。メリーランドの379人にとって、残された時間はおよそ7週間だ。それまでに効果交渉がどこまで進むのか、あるいは進まないのか。
作品は残す、と会社は言った。その作品を作った手が、9月4日にオフィスを出ていく。
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