誰も殺さない脱走兵 ― 全体主義都市を盗みで生き延びるステルスRPG『Deserter』、Q4 2026発売へ
戦争が終わらない国から逃げ出した兵士が、たどり着いた街でやることは、他人の家の鍵を開けて食料と薬を持ち去ることだけ。AskaLot Gamesの見下ろし型ステルスRPG『Deserter』は、そんな身も蓋もない生存の話にゃ。主人公ジョン・ホールデンは脱走兵(AWOL)で、英雄でも暗殺者でもない。武器は忍び足と盗みの腕だけ、というのがこの作品の一番の縛りになっている。
Steamの製品ページでは発売時期を Q4 2026 と告知しており、開発・販売はどちらもAskaLot Games。
敵を殺す選択肢が、最初から用意されていない

公式が挙げる特徴のうち、ゲームの手触りを決めているのは「非致死の手段のみで敵に対処する」という一点。ピッキングツールやバール、グラップリングフック、ダイナマイトといった道具は揃っているのに、それらは道をこじ開けたり注意を逸らすための装備であって、誰かを片付けるためのものではない。影に潜み、音を殺し、あるいはわざと大きな音を立てて衛兵を引き離す——その組み立てが遊びの本体になる。
キャラクター育成もかなり欲張りで、100近いスキルとタレントを8つのマスタリー系統に分けて伸ばしていく。スリに徹する道、ハッキングに寄せる道、口先で丸め込む詐欺師の道と、同じ家に侵入するにしても解法が変わる作りだ。物語は一本道ではなく複数のエンディングが用意されている。

「党」が全部見ている街、そして下水道

舞台となる街は、一歩ごとに党の監視が届く場所として描かれる。役所には冷たい官僚が居座り、通りには火事場泥棒と密輸人がうろつき、スラムでは疫病が広がっている。ミッション選択式ではなくセミオープンワールドの探索型で、住民の行動もシミュレートされる。ダークなディストピアに風刺と黒い笑いを混ぜる、というのが公式の言う方向性にゃ。
この世界観、実はゼロから始まったものではない。AskaLotは2023年3月にスラム出身の盗賊を主役にした『Gone Rogue』を出していて、『Deserter』はその「概念的な続編」として同じ全体主義国家の世界を舞台にしている。ただし公式は、物語を理解するのに前作のプレイは不要と明言している。前作は現在1,690円で、レビュー310件のうち276件が高評価の「非常に好評」。
発売を待たずに触れる ― 体験版は6月末に探索範囲が約3割拡大

発売はまだ先だが、待たずに触れる導線が2本ある。ひとつは2026年4月30日に公開された体験版。内容は脱走してからの最初の3日間で、開始エリア・下水道・西部郊外を歩ける。ステルス、ピッキング、クラフト、サバイバルという基幹部分がひととおり試せる範囲だ。
その体験版は6月30日に更新され、開発の現状に合わせて中身が入れ替わった。主な変更点はこのあたり。
| 項目 | 変更内容 |
|---|---|
| 探索範囲 | 約30%拡大 |
| 戦利品 | 生成アルゴリズムを全面的に刷新 |
| 疫病区域 | より危険になった代わりに報酬が良くなった |
| 街の人 | 通行人が増加、有益な情報を渡す情報屋も登場 |
| 難所の解錠・スリ | Focusを消費しなくなり、代わりに疲労が5%増える |
| 増援 | 高警戒時、または通報の電話が入った後に到着 |
| 商人 | 広場の商人がどんな品でも買い取るように |
| 敵AI | 窓を使われたと気付くと施錠、家の物が消えたことにも反応 |
薬を見つけた後は下水道へ戻れるようになったが、体験版で遊べる長さはジョンの疲労上限で区切られている。犬のAIも調整され、視界範囲の見やすさが改善されたとのこと。
もうひとつは、2025年8月26日に無料配信された『Deserter: Prologue』。体験版ではなく前日譚にあたる独立した一章で、軍のキャンプから抜け出すまでを描く。夜ごとに準備を進め、巡回を避け、物資を盗み、道具を作り、仲間の兵士と裏取引をする——脱走の直前が題材にゃ。こちらはレビュー70件のうち66件が高評価で「非常に好評」に乗っている。
日本語は表示まで、音声は英語のみ

言語対応はUIと字幕が日本語を含む12言語だが、フルボイス対応は英語だけ。ここは混同しやすいので分けて見ておきたい。要求スペックは軽めで、必要容量は7GB。
| 項目 | 最低 | 推奨 |
|---|---|---|
| OS | Windows 7/8/10/11 | Windows 10/11 |
| CPU | Core i5-5400 | Core i5-7400 |
| メモリ | 8GB | 8GB |
| GPU | GTX 760 / R9 280 | GTX 1060 / RX 580 |
| ストレージ | 7GB | 7GB |
Redditの反応

Redditのr/Gamesに立った紹介スレッドでは、開発者自身が「敵から扉の鍵までRPGシステムの一部」「スキルとタレントは100以上」と作品を説明し、そこに短いながらも温度の高い反応が集まった。
まず出てきたのが、この手のジャンルの先達を引き合いに出す声。
出来のいいMimimi系ゲームに勝るものはないね。がんばれAskalot!
Mimimiは『Shadow Tactics』『Desperados III』『Shadow Gambit』を手がけたスタジオで、2023年8月に閉鎖を発表し同年12月に活動を終えている。見下ろし視点でルートを組み立てて突破する遊びの担い手がいなくなった、という空白がこの一言の背景にあるにゃ。ただ『Deserter』は殺しを選べない設計なので、あちらの「暗殺の段取りを組む」快感とは別方向へ進む作品でもある。そこを歓迎するか物足りなく感じるかは、たぶん人によって分かれるところだ。
追いかけている期間の長さをにじませる反応もあった。
2024年からウィッシュリストに入れっぱなし :P
これは冗談めかした書き方だが、時系列としては筋が通っている。Steamのページが立ったのは2024年11月で、そこから前日譚の無料配信(2025年8月)、体験版の公開(2026年4月)と段階を踏み、ようやく発売時期がQ4 2026として見えてきた。開発元は体験版公開時のお知らせでレビューやフィードバックが開発を直接動かしていると書き、更新ノートでは詳しい報告をくれたプレイヤー個人に名指しで礼を述べている。長く待っている人の声が、そのまま中身の変更に化けている作りなのは確かにゃ。
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