マップもコンパスも無い『Hell is Us』、Redditで戦闘と結末に賛否――Steamは60%オフの2,632円
マップは無い。コンパスも無い。クエストマーカーも無い。
これは不親切さをあげつらう悪口ではなく、『Hell is Us』がSteamのストアページで真っ先に掲げている売り文句にゃ。開発はモントリオールのRogue Factor、発売元はNacon。2025年9月4日にPS5/Xbox Series X|S/PCで出たこの1本が、r/gamingでまた話題に上っている。発端は「3周目を終えた」という短い投稿だった。
舞台は内戦で引き裂かれた孤立国家。そこへ「惨禍」と呼ばれる出来事が重なり、現代兵器の通じない怪物が地上に湧く。プレイヤーに与えられるのは相棒のドローンと、別の時代に鍛えられた剣だけ。ストアの紹介文にある「人類の感情と激情によって永遠に続く暴力の連鎖」という一文が、この作品の芯を端的に言い表している。
案内表示が無いぶん、行き先は住民の言葉や地形、光の当たり方から自分で組み立てることになる。クリエイティブディレクターは『Deus Ex: Human Revolution』でアートディレクターを務めたJonathan Jacques-Belletête。画面作りに強い作り手が舵を取っているのは、スクリーンショットを並べただけでも伝わってくる。


Steamに積み上がったレビューは6,661件で、うち好評が5,675件。全体の約85%が親指を上に向けている計算で、表示は「非常に好評」。発売から1年近く経ってなお、この位置で安定しているのは悪くない数字だと思う。
価格のほうは通常6,580円のところ、いまは60%オフの2,632円まで下がっている。日本語まわりは項目ごとに分かれていて、テキストと字幕は日本語に対応する一方、フル音声が用意されているのは英語とフランス語だけ。Steam版の対応OSはWindowsのみで、MacとLinuxは対象外だよ。
Switch 2版も動いていて、日本では3gooが取り扱う。ダウンロード版が4,800円、キーカードとダウンロードコンテンツを束ねたスペシャルエディションが6,380円で、CERO区分はC(15歳以上対象)。発売は今秋を予定していて、製品ページではスキンパック3種と進行用アイテムのコードが同梱されると案内されている。
投稿主が並べたのは、物語・雰囲気・音・音楽・レベルデザインが噛み合って「隣人が隣人を殺す壊れた社会」を描き切っている、という賛辞だった。
物語も雰囲気も、音も音楽もレベルデザインも見事で、それが噛み合って、虐殺と隣人同士の殺し合いに蝕まれた社会をリアルに描き出している。まだなら手に取ってほしい。
この見立てに乗る声は多い。
あの陰鬱なトーンが本当にすごい。マンガ的じゃなく、崩れていく社会そのものに感じられる。
このゲーム大好きだった。探索と世界の作り込みが素晴らしい。
一方で、同じ人たちが口を揃えて減点するのが戦闘まわり。ここは擁護と不満がまっすぐぶつかっている。
戦闘以外は全部好きなんだ。それが悔しい。戦い自体が退屈でボタン連打に感じられて、のめり込めなかった。最後まで遊んで愛せた人たちが羨ましいよ。
触ってはみたけど戦闘で気持ちが折れた。動きが滑らかじゃないし、パリィもガードももたつく。世界のほかの部分は本当に好きだから、また挑戦するかもしれない。
移動のやり直しがとにかく多いし、敵のバリエーションが乏しいせいで戦闘も単調。傑作かと言われると、それは無いと思う。それでも良く出来た小ぶりな一本ではある。
擁護側はここに、規模の話を持ち出して答えている。
アートディレクション、音楽、脚本、そしてゲームプレイ——戦闘だって悪くない。「手取り足取り教えない」と謳えるのは、そもそも作品の規模が控えめで、大体のことが素直に繋がっているからだと思う。物語は引き込まれるし、容赦がない。



面白いのは、その擁護がそのまま次の不満に繋がっているところ。規模が控えめなことを長所として挙げる人がいる隣で、同じ性質を物足りなさとして受け取る人がいる。
全部の面で独自の設計思想を持っているのは確かで、しばらく頭から離れないと思う。ただ戦闘と敵の種類はいまひとつだった。続編が出てほしい。
終盤の畳み方に賛否が集まった
賛否がいちばんきれいに重なったのが終盤の畳み方だった。世界観を絶賛した人たちですら、ここでは同じ側に立っている。
ただ、結末があんなに唐突じゃなければ良かった。もっと色々あると期待していたんだ。
こっちも同じ。ゲームは大好きだったけど、結末だけは受け入れられなかった。
自由に歩けるはずの構造そのものに、実は順路があったのではという指摘も出ていた。
自由に行かせてくれているようでいて、地域には想定された順番があった気がしないか。素晴らしい話だったのは確かだけど、少し繋がりが途切れて感じられた。拷問と虐殺の巨大な塔みたいな場所に、序盤で行き着いてしまって。
案内表示を消した設計が、そのまま「どこから手を付けるか」の当たり外れを生んでいる、という読み方はできそうだね。褒め言葉と不満が同じ一点から出ているあたりが、この作品の評価を割っている理由なのかもしれない。
同じr/gamingでは、何年も後回しにしていた『ウィッチャー3』をようやく遊んだら大当たりだった、という話も伸びていた。積んだまま忘れられた一本が数年越しに掘り返される流れは、この板でわりと定期的に起きている。
集まった声を並べ直すと、世界の描き方に文句を付けた人はほとんどいなかった。割れたのは戦闘と、最後の畳み方。6,661件のレビューが示す85%という数字は、その二つを差し引いてなお残った評価ということになる。
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