ペンギンを起こすだけの仕事、のはずだった――『Penguin Lifter』Steam配信開始。タグ欄が全部バラしている
南極の近く、名前もろくに知らされていない雪の島。そこでの仕事はたったひとつ、「倒れているペンギンを起こしてあげること」。ペンギンは自分では起き上がれないから、あなたが持ち上げる。……以上。求人票にはそう書いてある。
そんな『Penguin Lifter』が、Steamで配信開始されたにゃ。ストアページの表記では2026年7月13日リリース。価格は655円で、いまは発売記念の10%オフで589円になっている(割引は7月20日まで、Steamストアページ表記)。

ここまでなら、癒し系のお仕事シムにゃ。問題は、公式が自分でこう書いていることなのにゃ。
Penguin Lifter は、あなたがペンギンリフターとして働くゲームです。文明から遠く離れた屋外の雪原で、可愛らしい生き物であるペンギンに囲まれて働きます。ここにいるのはあなた、雪、そしてペンギンだけです…
「ここにいるのはあなた、雪、そしてペンギンだけです」。この一文の後ろの三点リーダが、やけに長い時間そこにいる気がするのにゃ。
借金と、雪と、持ち上げるボタン



主人公は経済的に困窮した人物で、だからこそこの妙な求人に飛びついた――という導入が公式の説明にある。島に降ろされて、ペンギンを起こす。それでお金が入る。
そのお金の使い道が、この作品の骨組みになっているにゃ。公式が挙げている要素は次の6つ。
- 自由な移動
- サバイバル要素
- 仕事と収入
- 拠点のアップグレード
- スノーモービルの運転
- ピクセル化されたグラフィック
つまり、最大の敵は寒さ。屋外で働き続ければ体は冷えるので、熱源を探すか拠点へ戻って暖まる必要がある。稼いだお金で拠点を強化すれば、もう少し長く外にいられる。長く外にいられれば、もっと遠くのペンギンに手が届く。やがてスノーモービルが手に入り、雪原はぐっと広くなる。
労働 → 収入 → 設備投資 → 行動範囲の拡大、という気持ちよさは、この手のサバイバル系ウォーキングシムの王道にゃ。ペンギンを起こすというアクションが、そのループの「収穫」パートに置かれているのが可笑しい。牧場で作物を採るところに、うつ伏せのペンギンが刺さっている感じにゃね。
タグ欄が全部バラしている
で、その和やかな話をしているのは本文だけなのにゃ。ストアページのユーザー定義タグを並べてみると、空気が変わる。
シミュレーション、スリラー、ウォーキングシミュレーター、雪、リラックス、探検、サバイバル、3D、ドット絵、6DOF、シングルプレイヤー、ゴア、ホラー
「リラックス」と「ゴア」が同じ列に座っているの、控えめに言ってかなり不穏にゃ。公式説明にも「島で過ごす時間が長くなるほど、疑問が湧いてくる」という趣旨の一文がある。何が起きるかは伏せられているけれど、少なくとも開発側は「これはただのペンギン起こしではない」と隠す気がない。ジャンル表記は「シミュレーション」一本なのに、タグには「ホラー」がしれっと混ざっている――この落差そのものが、たぶん売り文句なのにゃ。


ビーバーに追われた次は、ペンギンを起こす
作っているのは Peace_Studio と DonCorsaire。パブリッシャーは Peace_Studio で、Steamのキュレーター紹介では自分たちを「インディーホラーゲーム」の作り手だと名乗っているにゃ。
このスタジオ、前科(褒め言葉)がある。2025年7月3日に出した『Don't Mess With Bober』は、都会に疲れて田舎のコテージに逃げた主人公が、報復に燃えるビーバーに追い回されるという一人称ホラー。580円・プレイ時間30〜60分という小さな作品ながら、Steamのレビューは「非常に好評」(198件中84%)を維持している。
こちらもタグは「コメディ」と「ゴア」が同居している。要するに、かわいい動物の看板を掲げて中身で殴ってくるのが、このスタジオの芸風なのにゃ。『Penguin Lifter』のペンギンも、たぶん看板の側にいる。ワンコインの短編ホラーを手数で出し続けている作り手だと分かると、655円という値付けにも納得がいくにゃね。


出だしのユーザー評価と、初日のつまずき
配信直後の時点で、レビューは「好評」(11件中90%)。まだ母数がひと桁台から抜けたばかりなので評価は動く可能性が高いけれど、滑り出しとしては悪くないにゃ。
一方で、初日に小さなトラブルもあった。Steamの開発者アナウンス「Language switcher fix」で、ビルド時にカルチャー設定が抜け落ちて言語切り替えが壊れていたことが告知され、パッチで戻すと説明されているにゃ。
Sorry for this inconvenience, somehow some Culture settings where lost in build and broke languages.
出典:Steam 開発者アナウンス「Language switcher fix」(Penguin Lifter)
日本語表示が怪しかったら、まずゲームを最新版にしてから試すのが良さそうにゃ。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイトル | Penguin Lifter |
| 開発 | Peace_Studio、DonCorsaire |
| 販売 | Peace_Studio |
| 配信日 | 2026年7月13日(Steamストアページ表記) |
| 価格 | 655円 / 10%オフで589円(7月20日まで) |
| 対応 | PC(Windows 7〜11 64bit) |
| 言語 | 日本語、英語、ロシア語、ドイツ語、スペイン語、簡体字中国語、韓国語、トルコ語 |
| 必要環境 | 4コア2.5GHz以上/RAM 8GB/GTX 1050/2GB |
| 推奨環境 | 4コア2.5GHz以上/RAM 16GB/RTX 2060/2GB |
| その他 | シングルプレイヤー、Steam実績、ファミリーシェアリング対応 |
ちなみに「ペンギン × 南極 × 何かおかしい」という取り合わせなら、以前紹介したこちらも近い匂いがするにゃ。あちらはプレイヤー自身がペンギンになって狂気の山脈を歩く方向だけれど、南極という舞台が人間の正気をゆっくり削ってくるという点では親戚みたいなものにゃ。
倒れたペンギンを起こすのは、たしかに優しい仕事にゃ。でも、この島でその優しさが最後まで優しさのままでいられる保証は、公式のどこにも書かれていない。655円で1時間かそこら、雪と沈黙とペンギンの「…」に付き合ってみる――そういう買い物にゃ。ホラーが苦手なら、タグ欄をもう一度よく見てから決めるのをおすすめするにゃ。
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