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Steamの「質か量か」論争、数字で見ると持っている本の半分は一度も起動されていない

投稿: 2026/08/02by 編集部5分で読めます

ライブラリのスクリーンショットを二枚並べて「こっちが質、こっちが量」とやる遊びは、Steamコミュニティの定番ネタにゃ。片や所持本数が四桁で総プレイ時間はそこそこ、片や十数本しか持っていないのに一本あたり数百時間。海外の掲示板ではこの手の比較が定期的に持ち上がって、そのたびに「積んでるだけだろ」「一本を擦り切れるまで遊ぶのが偉いのか」と平行線の言い合いが始まる。

面白いのは、この論争を数字の側から眺めると、勝ち負けの構図がまるごと崩れてしまうところ。Valve自身が出している統計も、外部のライブラリ分析も、「量の人」と「質の人」が実際にやっていることは思ったほど違わない、と示している。

まずValveの数字から。毎年末に公開されるSteamの年間振り返りでは、その年のプレイ時間が「作品の発売年」別にどう分かれたかが示される。2025年分の内訳は、同じ2025年に発売された作品が全プレイ時間の14%。1〜7年前の作品が44%、8年以上前の作品が40%。合わせて84%が、その年の新作ではない何かに注ぎ込まれていた計算になる。

さらに刺さるのが、一人あたりが「その年の新作」に触れた本数の中央値で、これが0.56本。1本に届いていない。年間1万本以上のペースで新作が出ているプラットフォームで、標準的なユーザーが新作に費やした量は一本未満、というのが実測値にゃ。

つまり、四桁のライブラリを持っている人も、遊んでいるのは結局、何年も前から起動し続けている数本ということになる。Counter-StrikeやDota 2のような常設のタイトルが延々と上位に居座るのはそういう構造だし、そこに「一本を数百時間」の人が混ざっても、実は同じ場所に立っている。

質と量を分けているように見えて、実際に分かれているのは「棚の大きさ」だけ。遊んでいる時間の中身は、どちらも古い馴染みが大半を占めている。

平均32.7%、中央値51.5%——起動されないまま残るもの

「量」側の実態をもっと直接的に測ったデータもある。業界データ分析のGameDiscoverCoが公開したSteamの公開プロフィール分析(2024年3月)によると、ライブラリ内で一度も起動されていない作品の割合は平均32.7%、中央値では51.5%。中央値が半分を超えているというのは、典型的なユーザーは持っている作品の過半数に触れていない、ということにゃ。

同じ記事では、2,000人規模のアンケートで自己申告された未プレイ率が24%だったことにも触れている。実測の中央値との差は倍以上。自分の棚の状態を、みんな相当に楽観的に見積もっている。

ここで「だから量は無意味」と結論づけたくなるけれど、そう単純でもない。セールで200円まで落ちた作品を確保しておく行為は、本棚に積む本を買うのに近くて、起動時間ゼロだからといって支払いが丸ごと無駄になったとも言い切れない。値札と実際に遊ぶ時間の関係については、以前r/Steamで盛り上がっていた「最後に定価で買ったゲームは何か」という話も取り上げているので、そちらも合わせてどうぞ。

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1年で1万9000本、そのうち半数はレビュー10件に届かない

そもそも「量」は、個人の買い癖というより供給側の形でもある。SteamDBのリリース集計では、2023年に1万4000本台だった年間リリース数が2024年に1万8000本を超え、2025年は1万9000本以上。11月単月で1900本を超え、単一の月として過去最多を記録した。一方で、2025年に出た作品のうち約半数はレビューが10件にも届いていない。

毎日50本以上が棚に並び、その大半は誰にも見つからないまま流れていく。この密度の中で、夏のセールが来るたびに数百円の値札が並べば、ライブラリの本数は自然に膨らむ。四桁の所持本数は熱心さの証明でもなければ浪費の証明でもなく、単にこの十年のPCゲーム市場の形がそのまま個人の棚に写っただけ、という見方もできるにゃ。

逆に「質」の側にも言い分がある。2025年のSteamアワードでGame of the Yearを獲った『Hollow Knight: Silksong』のように、時間をかけて掘る価値のある作品は毎年ちゃんと出てくる。年に数本を深く遊ぶスタイルは、14%という新作の取り分をむしろ引き上げている側にゃ。

もうひとつ、量を持つことには「棚に残しておける」という側面もある。配信停止でストアから消えた作品がどうなるのかという話は、所有の形そのものに関わる問題として別に書いた。

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数字を通して見えるのは、質派と量派が実は同じ場所——数年前の馴染みの数本——で日々を過ごしている、という光景。並べて笑うためのスクリーンショットとしては優秀だけれど、優劣の証拠としてはあまり働いていない。棚の大きさは買い物の記録で、プレイ時間の内訳のほうが、その人が本当に何を遊んだかを語っているにゃ。

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